セブ島で怪しげな男にやられた被害
私は羽田空港からフィリピンのセブ空港に降りたった。羽田からセブまでは片道5万円程度で行けるので、気軽な海外旅行ができる。航空界会社はセブパシフィックだった。
仕事をやめて一人でセブ旅行
私がセブに来た理由は仕事をやめて、一人で気楽に旅行でもしようと思ったからだった。仕事にかまけて海外に出たのは子供の頃以来のことだった。最初は国内旅行にしようかとも考えたが、どうせだったらと思い海外に行くことにした。セブに来たのはなんとなくなった。強いて理由をいうなら英語が通じるということぐらいだった。
セブ島に現れた怪しげな男
空港の外に出ると、日本とは違う乾いた日差しが降り注いでいた。暑いのは暑いのだがどこか心地の良い暑さでした。ベンチに腰掛けて飲み物を飲んでいると、40歳くらいの男が話しかけて来た。日本から観光できたというのような話をしていると、その男は以前日本人に大変に世話になった。だから日本人に親切にしたいと思っているという話をしてくれた。
そして、私がとりあえずビーチに行きたいというと、その男は送ってくれると言った。正直かなり怪しいなとは思ったが、人当たりの良さそうな笑顔についつい甘えてしまって私は男の車に乗った。
セブのお菓子だという、チョコレートのような食べ物をもらい、景色を見ながら食べた。気づいたらビーチが見えるベンチに横になっていた。一瞬自分がどこにいるのかを理解できなかった。
一瞬自分の部屋のベッドの上で起きたのかとも思った。そして目が覚めて10秒ほど立ってから、自分がフィリピンのセブにまで来ていたことを思い出した。そして記憶をたどった。知らない男の車に乗せてもらったことを思い出した。そしてチョコレートのようなものを食べた後の記憶がない。あの食べ物だ。やられた。
幸い現金だけの被害で済んだ
幸い私はバックパックを背負っていた。急いでカバンの中身を調べた。幸いなことにカード類やパスポートは無事だった。ただ現金は綺麗さっぱりなくなっていた。そして一番ショックだったのが、長年愛用していた、デジタル一眼レフカメラがなくなっていた。総額で20万円ほどするものだったのでかなりショックだった。
私はビールを飲んで少し冷静になり、被害状況と現在の状況を整理した。場所は空港の近くのビーチで、盗まれたものは現金とカメラだけだ。まだ旅行は始まったばかりだ。私はビールを飲み干すと少し苦笑いした。空港について30分余りで、騙されるとは思わなかった。しかも可愛い女の子でもなくただのおっさんだ。とりあえず今日はゆっくり休もう。私は気を取り直してホテルへ向かった。